スカンジナビアな客注

 それはちょうど一週間前の金曜日。おれが休みの日の客注。
 どうやら、北欧好きらしい女性のお客様からの問い合わせ。
・表紙にスウェーデンと書いてあった。
・ロッタちゃんの家が載っていた。
・『ロッタちゃんのハンドメイドのある暮らし』(主婦の友社)ではない。
・平積みしていた。
・雑誌ぐらいの薄さ大きさだった。
 さて、これでお客様の探されていた本あるいは雑誌が何かわかった方は、書店員としてやっていけます。もしくは、そうとうなスカンジナビアーですね。おれはぜんぜんわかりませんでした。
 まず悩んだのが、「ロッタちゃんの家が載っていた」ということ。それに該当する本といえば、まさしく『ロッタちゃんのハンドメイドのある暮らし』なんですが、それじゃないとお客様は断言されてるらしい。
 それでいろいろネットを検索したりしてるうちに、『スウェーデン・スタイル』(タツミムック)という本に思い当たる。ひょっとしてこれか? でもまだ入荷してないぞ。平積みしてないぞ。ひょっとして、別の店で見たのを勘違いされてるのか? などと思いながら速攻仕入れてみると、ぜんぜんロッタちゃんが載ってない。あ、ちなみに、ロッタちゃんというのは、ロッタ・ヤンスドッターというスウェーデン生まれの女性テキスタイルデザイナーのことです。


 ところで、今月号の『エルマガジン』は、本屋特集だったんですが、それに触発されて気になる本屋をはしごしようと出かけていった今日は金曜日、おれが休みの日。
 とりあえず、高島屋地階の書店「ルーム イン ブルーム」へ。ここでも、スウェーデンとロッタちゃんをキーワードにくだんの本を探すも見つからず。ま、いろいろ参考になる棚作りをされていて、得るものは多かったのでよしとして、戎橋にできたTUTAYAへ。書籍売り場は5階。エスカレーターを降りたところは雑誌売り場で、ああ、そういえば『イラストレーション』の配本なくなったなあとか、いろいろ思いを馳せながら棚を見ていたら、あった!


spoon. 10月号 角川書店 \629


 これやん! 間違いない! そうか、ロッタちゃんは、ヤンスドッターじゃなくて、絵本の方か、バムセの方か、『ロッタちゃんと赤い自転車』(アストリッド・リンドグレン/アイロン・ウィクランド/偕成社)か! そこにはたしかに絵本に出てくるロッタちゃんが住んでいる家のモデルとなった町並みの写真が載ってる。もう、すっかり、ヤンスドッターさんの住んでる家のことかと思ってたもんなあ。もうちょっと詳しく電話で聞けばよかったよ。
 ま、なんにしろ見つかってよかった。
 で、帰り際、TUTAYA戎橋店に感謝の意をこめて、マンガ版『パプリカ』(筒井康隆原作/萩原玲二画/英知出版/\1600)を買ったんでした。
 いやはや、それにしても、本屋って楽しい仕事やねえ。